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7章・よもやま話

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7-1 嘘ばっかの葬式マナー

極端な言い方をすればネットで見る葬式マナーの殆どは「はぁ?」と思う内容ばかりで「それ何処の常識だよ」と突っ込むほど嘘が多いのも特徴です。

葬式のマナーを書いてる大半は数年葬儀屋勤務経験がある程度、もしくはスキルや経験値の分からない自称マナー接遇講師、マスコミ受けが良いのか取材やテレビで見ることもありますが、だから正しいわけではありません。

葬式で参考になるとしたら最低でも数百件の施行を担当してきた人間の言葉以外は信用できません。それでも『その地域限定の常識』でしかありません。

簡単に言うと『全国全県の葬式施行した人間はいない』という事、同じ都道府県内でも市区町村が違えば内容の違う葬式を経験した人は多いでしょう。

細かく書き出せば1冊の書籍になるほど「はぁ?」はあるでしょうが、根本的なテーマである『マナーとはなんぞや』を理解しておくことです。

大半の葬式マナー記事は『こうしなければいけない』『こうすべきです』というニュアンスそのものが間違ってます。

マナーはラテン語の「マヌス(manus)」が語源で日本語訳では『行儀作法』と訳されるため『作法』の文字が誤解を生んでるのでしょう。

「作法」とは「しきたり」「きまり」だから、こうしなければ成らないと思い込む人達が多いのだろうと思う。

過去100回以上海外に行き、市長に同行してアメリカの姉妹都市、イタリアの友好都市など公式と呼ぶ場にも参加しましたが、日本で教える食事マナーが必要だと感じた事は一度もありません。

個人的な感覚に成りますが『マナー = エチケット』と考えたほうが窮屈感もなく無駄な緊張も無くなる気がします。

例えば公共トイレは綺麗に使うのがマナー(エチケット)ですが日本の教えはトイレの中でも、おならの音を出さないよう言われてる感覚です。

話題を変えれば、食事の最大目的は、使用する食器類の使い方や順番や食べ方ではなく『美味しく楽しく食べる事』で誰が聞いても当然です。

その際のエチケットが周囲の人達に嫌な思いをさせない事と、食事を用意してくれた方、シェフ、配膳の人達への感謝こそがマナーの原点でしょう。

日本は麺類を食べる時にズルズル、ズズッーと吸い込む音をさせたほうが旨そうに感じますが、欧米に無い習慣ですから嫌な思いをさせる事になります。

欧米人が来日して蕎麦を食べる時、初めて使う箸では上手く食べられませんから、フォークを用意してあげれば美味しく食べられます。

箸しか使った事のない日本人が欧米で食事しても同様、作法の押し付けより相手の事を考慮してあげる事がマナーの基本だと思います。

日本で料理を残すのは失礼と言いますが、中国では全て食べると足らなかったのかと非礼になるので少し食べ残すのがマナーとされてます。

マナーは場所と相手によっても変化するもので、変化しないのは周囲の人に嫌な思いをさせない事であってマナーは決まり事ではありません。

先ほどの麺類を食べる時にズルズル、ズズッーと吸い込む音ですが『日本』で食べるなら外国人がいても構いません。しかし『欧米等』で麺類を食べる時、周囲に欧米人がいれば基本駄目です。

食事中に走り回ってる子供がいれば常識ある親なら止めさせます。但し、その際「ほら小父ちゃんに怒られるよ」では駄目でしょ。

誰から叱られるから駄目なのでなく、食事の場で走ってはいけないと教えれば最低限のマナーは培われます。

葬儀支援を始めるきっかけとなった父親は僕が5才になったのを機に時々ナイフとフォークを使うレストランに連れていき、洋食を食べる習慣を身に付けさせてくれたことが大人になっても活かされてます。

僕は女性や子供と一緒ならドアを開けたり、閉まるドアを抑えるなど自然にする人間ですから嫁さんはドアの前で開けるのを待ちます。

あんしんサポート設立当初、千明にも同じことをしますから、初めは戸惑ったようでしたが、今では嫁さん同様ドアの前で開けるのを待ってます。

それを見て育ったからでしょうか息子も同じようするので最近では僕が入ってから息子が入ってくる流れに変化してます。

国内では旦那さんが先にドアを開けて入り、後ろから奥さんが再度ドアを開けて入る姿は普通に見ますが、欧米でその姿を見るとやはり違和感を感じます。

マナーもですが、自分より弱い人達に対し当り前に優しくなれる。マナーうんぬん以前に倫理や道徳くらいは教育できる親になりたいものです。

似たような誤解にNPO法人があり「Non-Profit Organization」を特定非営利活動法人と日本語訳するから『利益を出してはいけない法人』だと思ってる人がとにかく多いのに驚きます。

利益無く活動できる組織は税金投入できる行政以外ありません『非営利』とは株式会社の最終目的、株主配当に当たる行為ができない法人です。

「利益を出してはいけない法人ですよね」このあり得ない思考回路はどこから来るのか分りませんが、日本人が洗脳され易い国民なのは間違いありません。

7-2 通夜式は要らない

偶然でしょうが、設立初年度の施行で通夜式を希望する家族が無く設立から1年後の6月施行で初めて通夜式をしましたが意味は無く無駄と分り、それ以降は一度も通夜式は行っておりません。

初めての通夜式で『通夜って葬式と同じ事するの?』と施行代行依頼してた葬儀社の社長に聞くと昼間の葬式に来られない人達の為と言われた。

それが本当なら通夜の焼香時間は実質30分で、あとは飲んだり食ったりしてるだけでは意味がないと『通夜とはなんぞや』と自分で調べました。

7-3 仏教通夜の由来

釈迦が病に倒れ集まった弟子達が看護するが入滅(逝去)、当時は医学も発達しておらず鳥の羽毛を鼻先にかざし生死を確認してた時代、仮死状態なら蘇生もあり死亡確認は一晩掛けて行われたそうです。

ひと晩中、釈迦の亡骸を囲み釈迦の教えを語り合ったのが通夜の由来で、僧侶が読経する事もなければ会葬者が焼香する事でもありません。

仏教でもキリスト教でも魂は身体を離れるとしますから、親交の深い人達で故人が慣れ親しんだ自宅に集まります。

故人の好きな音楽を掛け、故人の好きな物を食べ、故人の写真や動画を見て、故人との思い出や逸話を話す。これが最も由来に近い通夜と推奨してます。

ちなみに釈迦の死因は今で言う食中毒、釈迦の回復を願う弟子達が『医は食から』の如く食べさせようとしますが受付けず、食べ易いようにと団子を用意しますが食べる事なく逝去した事から枕団子は食べず枕元に置くようです。

また釈迦が最後に口にしたのが『水』だった事から、ご安置が済むと最初に行うのが『末期の水』をとる習慣、釈迦が右を下にして寝てる涅槃像は釈迦入滅の様子を現したものです。

7-4 自己満足だった湯かん納棺儀

自分は無信仰だからか宗教儀式への違和感は早い段階から持ち、読経より湯かん納棺の時間が葬式と思い込んでた時期が数年あります。

派遣の納棺師でなく自分自身が納棺師として家族と一緒に故人を送ろうと2時間余りを過ごし意気揚々としてました。

今の高額な葬式の問題点を説き、四十九日は納骨をする日ではない、仏壇の扉は閉じておく、十三仏の話、四十九日の旅とは等仏教儀式の説明をする。

続いて白装束の説明をすると旅支度を整える家族への手伝い、更に納棺をすると守り刀や塔婆などの説明や質問への回答をする2時間でした。

家族からはとても高評で、湯かん後は「先生」と呼ばれる方も多く「足りない君」の僕は有頂天になってたんだと思う。

ところが菩提寺の葬式を受けないと決める際、湯かん納棺は仏式の作法であると改めて考えてみると無信仰者の俺が仏式の葬式を後押しするような言動をしてた事に気付いてから湯かん納棺儀は年間数件に激減しました。

無信仰者にとって宗教儀式が大事などあり得ません。

無信仰と宣言し葬儀支援を行ってる本人でさえ仏教作法が最善と思ってたのですから一般の人達が仏教の葬式が当り前と思っても当然でしょう。

徳川幕府のキリスト教対策から始まった『寺請制度てらうけせいど(檀家)』とはいえ、国民全体を当然と思わせるほど洗脳してきた国と仏教界の凄さを感じます。

7-5 家族目線の葬式設定

信仰のある人が葬式で悩むことは絶対にありませんが、無信仰者は『葬式は決まりがある』と思い込んでる人も多いです。

うちの千明も大手葬儀社勤務時代『葬式は決まりがあって200万円近く掛かる』と何の疑問もなく思ってたと言います。

たった一人で火葬だけの葬式と散骨をした女性から感じた『温もり』と『満足感』から『葬式とはなんぞや』の疑問を持ち、偶然から葬儀支援という先人の無い新たな道を切り拓く人生のスタートを切った。

葬儀支援の道は先人も前例もなく、既存の概念を打ち砕く日々の連続、周囲からの中傷にもめげず、残る家族の生活が守れる葬式の実現だけを目標にした15年を振り返ると素人の手探りにしては上出来です。

一般人の大多数は葬式自体何をどうして良いか分らないレベル、言われた事を言われたようにするだけの家族は葬儀社と支援センターの違いなど料金の違い以外に分るはずがない。

例え大事な家族の葬式であろうと残る家族の生活最優先は誰が考えても当然で当たり前にも関わらず言葉巧みな霊感商法と脅しも使う葬儀業界の実態に逆らえる一般人などそうそういません。

家族の生活より葬式を優先させようとする無責任な周囲と親戚、その結果、無理を承知で行う葬式を馬鹿らしく思う人は沢山いますが全て「供養」や「親不孝」の言葉と脅しで常識と勘違いさせる葬儀業界。

家族の生活が守れない葬式など、誰が何を言おうと絶対に間違ってると、声を大にして実践も伴わなければ間違った常識を壊せない。

長年続いた常識感は俺の時代では変革しきれないかもしれないけど、とにかく誰かが声をあげない限り変化しない訳で、ジレンマというか、洗脳された意識改革は簡単ではなく中々伝わらないじれったさの10年ほどでした。

たった一人の直葬で満足してる親父の葬式と現行の葬式の根本的な違いはどこだろうと改めて書き出してみると決定的な違いがあることに気付きました。

現行の葬式は『他人から言われた事をする宗教儀式』、これに対し親父の葬式は『自分がして欲しい事だけをした葬式』なのです。

線香は嫌いだから要らない、菊は嫌いだから赤い薔薇バラ、ハワイの海に散骨、そしてたった一人の葬式、どれをとっても現行の葬式から外れます。

でも実行した全てが故人である親父自身の希望であり、本人の希望を叶えたいと思う人の真心まごころだけの葬式、建前、世間体、宗教的縛り、他人の意見など一切無い葬式だったからの『満足感』であり『温もり』なのです。

なら俺達が『家族の事情』『希望』『価値観』を実現させられたら親父達のように満足して後悔のない葬式になるのでは――、これが『家族目線』への扉を開ける覚悟をした瞬間でした。

7-6 本当にありがたいと思うなら

昭和前期の日本は「向こう三軒両隣り」の言葉もあり夕飯前に「お醤油貸して」と普通に言える時代、今は近所付き合いも希薄になり付き合いの無い隣保が普通ですが、この昭和感覚が必要な時代になってる自覚があるでしょうか?

少子化もありますが人は豊かになると家族より自分を優先するようすが、日本に出稼ぎに来てる海外の人達は毎月仕送りして家族を支えるのが当然です。

かつての日本も同様で東北から集団就職で来て仕送りしたり、雪深い季節は出稼ぎが当たり前の時代もありました。

ところが今は家族関係が希薄になり親の面倒も看ないのが当り前、孫の面倒まで看させる子供達も普通にいる時代です。

その結果、年金暮らしの老人世帯が増えれば必然的に独居老人になるわけですが、別居生活が長ければ簡単に同居はできません。

その人数がわずかなら大きな問題ではありませんが全国5番目に人口の多い埼玉県民に匹敵する700万人もの独居老人がいるのです。

ゆえに古き良き時代の隣近所の付き合いが必要となるわけです。病気、怪我、或いは高い所の物を取るなど、日々の生活を互いに助け合う時代になった自覚をするべきでしょう。

当方で葬式された家族の半数は「本当に助かりました」と言って頭を下げてくれますが、そんな家族に伝える言葉があります。

「本当に有難いと思うなら、いつか誰かを助ける立場になって欲しい。助けた人が同じように助かったと思えたら、僕と同じことを言って欲しい、それがお互い様の世の中を蘇らせる事に繋がるはずです」

7-7 温かい葬式

何となくニュアンスは分るでしょうが、温かい葬式の実態を理解してるのは、温かい葬式を経験した人達だけ言葉で説明しても理解は難しいでしょう。

過去の経験則で言うと一般葬で温かい葬式は実現できません。また不機嫌な態度の家族親族がいても実現できません。

あえて言うなら温かい葬式とは『家族ひとりひとりが素の自分が出せて素の自分でいられる葬式』でしょうか。

余計な神経を使う人達がいなければ、その場、その場で泣いたり、笑ったりして悲しいながらも穏やかな心で過ごすのが家族本来の姿です。

難しいのは『家族が素の自分でいられる空気感を生み出す事』社交辞令と型にはまった言葉は無用、家族が自然な笑いのある雰囲気なら80%完成あとは流れに任せれば自然と温かい葬式になります。

住職が葬式法話で偉そうなことを言っても、日々の生活で見えてるものと違えば不信感を増大させるだけのこと、温かい空気を創り出すには家族からの信頼感と親近感は絶対条件でしょう。

7-8 初めての無宗教一般葬

2018年初秋、以前お婆ちゃんの葬式をされた家族から電話で40代の息子が車の下敷きになり脳幹がやられて回復の見込みは無く葬式の相談をしたいと言われ驚きますが、あんしん館に来てくれるよう伝えます。

相談者は職人さんで、斜陽産業なのかさほど収入はなくお婆ちゃんの葬式も僕の判断で自宅安置の直葬を提案、その葬式を経験した息子は「いい葬式」と称賛、考え方として僕の弟子になりたいと言っておられた当人です。

友人と街中で飲み駐車場で車体下に潜り込み寝込んでしまい、駐車してた人は気付かず運転してひかれ、もって数日と医師から宣告されたようです。

お母さんの話しでは中学からの友人が大勢いて、今病院には引っ切り無しに来てくれてるそうで、その人達だけでもお別れの時間を取ってあげたいとの希望、友人達に確認すると葬式の手伝いをしてくれると分った。

今回の流れは納骨も友人達は来てくれるので、納骨後の食事くらいは家族で用意してあげたいでしょうから、そこまでの費用は捻出してあげたいとの想いで流れ、内容、返礼品等を企画しました。

公営斎場で無宗教のお別れ会、香典受付後は友人達や仕事関係から頂いた生花、好きな食べ物、好きな洋服を入れながらゆっくりお別れをして貰い、友人達で間が持たない場面は僕が話で繋ぐ1時間強の時間を過ごし出棺です。

火葬時間は待合室だけ借りて座れる場所だけは確保70分後の拾骨は僕自身が入り家族は勿論、友人達も全員素手でワイワイと賑やかな拾骨でした。

想定してたより少し多くの香典が集まり、葬式費用、納骨費用、納骨後は支えてくれた友人達と家族で食事に行けるだけの費用も捻出でき安堵です。

無宗教の一般葬は初めてでしたが問題なく行える事も分りました。

個人的な感覚で言えば香典を当てにした葬式は賛同できませんが、ひとつの方法論として参考になる家族もおられるでしょう。

経験から言わせて貰うと公営斎場のような短時間制限のある場所でなく、広い式場より狭い式場で半日使用できればベストでしょう。

半日近くお別れ時間の設定である程度分散した時間を伝えれば、会葬者も集中せず故人の顔もゆっくり見られ、親しい人ならお茶でも飲みながら話しもでき家族は疲れますが温かい葬式になります。

7-9 その恰好ですか?

初めの数回は何も分らず黒の略礼服で葬式施行を手伝ってましたが、作業実態が分ってきたり、葬式では名札を見ない限り、会葬者と葬儀屋の区別はできないのも分ってきました。

なぜ黒服を着る必要があるのか葬儀屋さんに聞くと「故人への礼儀」という事らしいのですが分ったような、分らんような回答です。

施行者で大事なのは、滞りなく葬式を進める事、家族や会葬者が仕事関係の人だと分る事で、例え作業着でも故人や家族に無礼と思われる事はありません。

そこで真黒のポシャツ、真黒のジャンパー(ベスト)、真黒のジーンズ、真黒の靴下と靴、全身黒づくめでの葬式を開始しました。

最初は見慣れない姿に司会者から「その恰好ですか?」と言われた事もありましたが遠目でも分り易く家族から服装で何か言われた事はありません。

また黒ジーンズと黒ポロシャツは毎年最低でも各6枚、多い年は10枚以上買いますからシワシワのスーツより清潔感もありトレードマークになってます。

7-10 黒の礼服や髪形

葬式は家族の都合と宗教儀式なら宗教者の都合で行われますから、仕事の時間帯なら会葬に来てくださる方は各々の仕事着で全く問題ありません。

作業着だと家族は嫌な思いをしますか? 迷惑だと思いますか? 仕事にも関わらず来てくれた人に感謝出来ない家族の葬式なら行く必要などない。

葬儀屋さんは「通夜をすれば仕事が終わってから来られます」と言うでしょうが、確かに仕事が終わってから来れる人もいるけど、5時、6時に仕事が終わらない人はいくらでもいる。

本当にそれが目的なら1時間でなく3時間、4時間の弔問時間の設定すべきでそれなら通夜の無い葬式で充分だろう。

故人の配偶者が高齢なら「黒の礼服は窮屈だから大変?」と聞き「うん」と言えば、全員私服を勧める事もあります。

火葬前日の午後、あんしん館で葬式の時は「全員普段着で良いよ」と伝え「斎場火葬は礼服の人達が多いから家族で決めてください」というケースも多い。

ヘアスタイル、バック、香典に使う紙幣、包み方、どうでも良い事ばかりです。結論を言えば「あなたがどんなヘアスタイルで、どんなバックを持ってようが誰も気に留める人はいません」全てあなたの自己満足に過ぎません。

あり得ないド派手な恰好で葬式に来る人にマナーを説いても理解できませんし一般常識のある人にマナー指導は大きなお世話です。

マナーに関しては書ききれないほどありますので、ひとつひとつ書きませんが、気に成る事は葬儀担当者に聞くと良いでしょう。

建前論を語る使えない担当者か最適なアドバイスをしてくれ頼りになる担当者か分るから、その後は担当者によって対応を変えれば良いでしょう。

7-11 ちょっと疑問『DIY葬』

家族目線の具体例の前に時々話題になり、以前よりネット販売の棺や骨壺の広告も目にするので『DIY葬』が本当に安いか検証してみましょう。

前述『直葬に於ける最低限の葬具』で書いたように、火葬だけの葬式でも下記項目は必須で、ひとつでも欠けたら直葬は成立しません。

①「病院等から安置所まで搬送シートで包んでご遺体搬送」

遺体を乗せて運べる車はありますか? 或いは「助けてください」と言った彼のように助手席に乗せて自宅まで運び自分達の手で安置しますか? 

②「故人を納める棺一式(棺・掛敷布団・枕)」

事前に購入しておけますか? ネット注文で翌日に届く事はないでしょうから、それまでは布団でご安置しますか?

③「火葬までの安置と適量の保冷剤又は冷蔵庫」

死亡診断書記載時刻から24時間以内の火葬はできませんので、最短でも24時間後、通常は48時間の安置は普通です。

氷では1時間毎に入れ替えで夜間も考慮すると無理があり、自宅安置なら最低15㎏ほどのドライアイスは必要で死後直後に準備できますか? 土日でも簡単に手に入りますか?

④「死亡届出書の提出と火葬許可証の受け取り」

死亡届は役所の営業時間内であれば可能、役所によって印鑑の要不要があるので事前確認すれば届出の流れは教えてくれるでしょう。

⑤「死亡時刻から24時間以降の火葬予約」

ある程度の都市部なら火葬予約はネットか自動応答の電話ですから利用する斎場(火葬場)の友引以外で営業時間内に問い合わせれば火葬予約は可能です。

但し利用する斎場により火葬予約が数日取れない事は珍しくないので、その間は自宅で安置する事になります。

⑥「火葬予約時間に合わせ納棺した棺の搬送」

故人を納めた棺を搬送しますので使用する車体は長さ2m×幅70cmほどの空間が必要です。遺体は思ってるより重く最低男性2名、大柄な故人なら4名ほど男手あれば何とかなるでしょう。

⑦「7寸骨壺一式」(東日本)

骨壺は斎場売店で販売してる所も多くさほど困ることは無いでしょう。

・この全てを家族で行ったほうが本当に安いか?
・ネットで注文した棺はいつ届くのでしょうか?
・ドライアイスは簡単に確保できるでしょうか?

家族の葬式はただ単に安い高いだけの問題でしょうか? 全てを自分達で行う事に異論はありませんが、温かく送れる葬式になるでしょうか。

群馬県の大半は市民火葬料は無料で当方は69,000円+税で完了、自分で行ったほうが高くつく気がするのです。前述の「助けてください」と電話をくれた方も結局、自分では出来なかったわけです。

まずはご地域にある葬儀社で必要な項目全てが揃った最低料金を調べてからDIY葬を考えても遅くないでしょう。

7-12 二通りの『家族目線』

父親が無信仰者だったのは葬式内容を聞けば分りますが、日本は無信仰者と言いつつ「なんちゃって仏教」「なんちゃって神道」もいれば、神葬祭でも線香を供える人はいて正月は神社に行く仏教徒もいます。

葬儀支援は無信仰者だけが対象ではありません。極論で言えば信仰はどうでも良くて『残る家族の生活が守れる葬式の実現が目的』ですから『無信仰者対象』『有信仰者対象』2通りの家族目線が必要です。

一般葬儀社は葬式だけ対応すれば済みますが残る家族の生活を守ることが目的の当社の場合、葬式は家族の生活を守る為の手段でしかありません

人の死は葬式だけで終わらず『遺骨処理』『死後手続き』更に『後々の供養』なども対応しなければ『安心の提供』とは言えません。

依って葬儀支援センターとしては、葬式後に発生する遺骨処理、法要、各家族毎に違う死後手続きに至るまで的確で無料アドバイスは絶対条件となります。

7-13 超低料金で依頼できる宗教者

宗教儀式の無い葬式は問題ありませんが、葬式費用の大半は葬儀社と宗教者ですから一番多い仏葬式の布施を低料金にしなければ、我々が最少人数、24時間無休体制で命を削っただけでは低料金の葬式は完成しません。

ちなみに前橋市の布施相場は『信士信女戒名の葬式で30万円』『居士大姉戒名の葬式は50万円~60万円』『院号付戒名の葬式は80万円~100万円』、何処にそれほどの価値があるのか理解不能な価格帯です。

そもそも戒名ランクが解せません。信士信女より、院号は良い所へ行けるなど戯言、あの世は階級制度があるのか?

そんな馬鹿げた話はありませんから戒名は一択『居士大姉戒名』読経は長いほうが喜ばれると思ってるのは坊さんだけ、無信仰者なら意味不明な読経は15分~20分で充分、長すぎると眠くなります。

幸いな事に何度も掲載して頂いた各紙新聞記事、NHK全国放送、ホームページ等を見て「お手伝いさせてください」と来た住職や僧侶から儲けたい人はお断りして読経戒名で7万円で行う主旨説明をすると10軒ほどの住職が残った。

その後、高額な布施を当然の如く要求する菩提寺と非会員さんから突然の依頼は一切受けないと宣言しても納得できる葬式内容の設定に入りました。

家族葬プラン内に読経、戒名を含める事、ついては住職への負担の軽減を図る事で7万円から5万円に引き下げも快く引受けてくれた。

また時々火葬だけの葬式をされても戒名が欲しいという家族の為、居士大姉戒名は25,000円で授与して頂いてます。

支援開始以来、菩提寺の付ける戒名を沢山見てきましたが、満足に故人の事も知らず、家族に詳細を聞くわけでもなく、戒名に使用した文字の説明をするでもなく、戒名を見て故人が思い描けるわけでもない。

50万円の大金を受け取るにしては余りに適当な印象が強かった事から、故人の人となりが一番分る家族から『人柄』『性格』『仕事』『趣味』更に故人の逸話も含めて全て僕自身がお聞きします。

聞いた内容と家族の希望などFAX、家族の希望などあれば時には僕自身が暫定設定した戒名を確認して頂き必要なら修整して貰うこともあります。

道号、戒名で使用した漢字の意味を送返信して貰い、永代供養三十三回忌まで各年忌法要の年月日を記載清書して家族に渡しています。

故人について当方が聞く事で住職の手間が省け、葬式用の派手な袈裟で無く移動用の黒の袈裟とし読経は15分~20分で本葬経と呼ばず枕教と称することで住職への負担を軽減してます。

1回1回の葬式利益は小さくなりますが、菩提寺排除の影響は予想した程なく会員数は増え続けており檀家外の収入が年間通し安定する利点もあります。

葬式後の法要も考慮、ちりも積もれば感覚なら充分でしょう。まずは会員さんの出費が抑えられる事が第一次いで寺の収入も安定する事になります。

『事前入会してない方の依頼は受けない』と『菩提寺葬式は受けない』は、全会員さん宅へパンフレットと宣言書面を送付、2年の猶予期間を経て2020年2月から徹底してます。

7-14 非会員の依頼を受けない理由

この点は参考までに書きますので、あなたの地域に本気で葬儀支援を行う所がある場合に限りとても参考になるでしょう。

葬儀支援の真髄は『高品質で超低料金の実現』で死後費用の心配をする事なく人生を謳歌できる事、無信仰者限定なら直葬一択でも構わないのですが、宗教儀式の有無については考え方は70才で半々です。

宗教儀式ありきで育った人達を無視できませんから仏教式家族葬プランは必須(直葬+散骨で10万円税別・読経、戒名付き家族葬でも15万円税別)葬儀社が逆立しても絶対にできないプランの作成は大変でした。

でも頑張った甲斐はあり会員さんは15万円+税だけ確保すれば葬式費用を頑張って貯める必要もなく更に低料金の遺骨処理、死後手続きまでアドバイスが受けられるので不安や心配を抱えて過ごす必要はありません。

この葬儀支援の実現には『最低限の2名で行う』『24時間365日無休』だけでなく『赤字覚悟』で無ければ成し得ません。

どうやって食べてるの? の疑問は当然、結論を言えば『散骨の利益』を赤字プランに補填したり給与に回してるのです。

散骨場の当初は無償貸与でしたが葬具同様、少ない利益を貯め土地を購入、10年掛かってようやく名義変更も終わり、粉骨専用機械を購入すればあとは前橋⇔散骨場の車両費であとは利益計算できます。

ただ15年間無休365日24時間対応は簡単ではありません。自分の全時間と命も懸けねばできない。だから誰も真似しない。簡単な理屈です。

自分の全て懸け、何処からの助成もなく、儲からない仕事だったら、横柄な人、お客様扱いされたい人、嫌いなタイプの人の依頼を喜んで受けますか?

僕は神様でも無ければ特別良い人でもなく、結果はどうであれボランティア大好き人間でもありません。だからか「人助けする人」「とても良い人」と言われるのは好きではありません。

その言葉を受け入れてしまったら自分で自分の首を絞める事になるからです。

一番近いのは『趣味』だと思う。嫌々趣味をしてる人は無く、他人から見れば「何で」「どうして」と思っても当人は楽しいのが趣味です。

僕も嫌な人の葬儀支援をする気はありません。楽しくないからです。

結果「残る家族の生活が守れる葬式」の立ち位置に反する高額な布施の菩提寺葬式は受けませんとなるわけです。

またお客様扱いされたい人、横柄な人も入会させません。だから会員ですがお客様ではありません。お客様とは僕らを儲けさせてくれる人のことです。

当方は赤字覚悟の支援センターで「会員」で、葬儀社では「お客様」ですからちゃんと希望は叶えてくれますし依頼する葬儀社に困る事はありません。

以上の理由から本気で支援をしてる人は葬儀社のように腰が低くありません。もし本気の支援で腰が低い人がいたら「神様」みたいな人なんでしょうね。そんな人と出逢えた人は超ラッキーだと思ってください。

それと簡単に断れる理由があります。当方で言えば『直葬プラン』『ぱっく60』『家族葬プラン』状況により『完全委託プラン』は赤字です。

赤字とは施行すると「損」するプラン。だもん断っても問題ないでしょ!?

もうひとつ『非会員の依頼を受けない理由』、逝去するまで死後の事を考えない人が探してるのは葬儀社で支援センターではないからです。本気で葬式の事を考えてる人が逝去するまで動かないなどあり得ません。

年間50~60件は今も断りますが、ホームページを見れば「ご利用は事前入会が必須です」の文字が冒頭に書いてあります。

それでも連絡してくる人が20~30件あり、受けないと書いてあっても葬儀屋だから電話すれば受けると思ってるんでしょう。後は事前相談時に入会を受けない人が同じような人数いる結果です。

葬儀支援には『家族の事情』『財布事情』『重視する点』『もしもの時の流れ』等事前確認しておく必要がある項目があり、あんしんサポートの理念、信条、目的なども伝え互いに納得しておく必要があります。

だから依頼電話が入れば最善の流れで進められますけど、当方の考え方や理念を理解せず普通の葬儀社を探してる人の依頼を受けたら喜ばれるどころか納得すらできないからです。

もうひとつ書くと本気で家族目線を実行すると会員以外は受けられなくなりますから非会員の依頼は受けないのに広告宣伝は意味がありません。

7-15 1個から対応できる香典返し

葬式香典返しの「葬家名」を気にした事ありますか? 僕は中身に関心が無いので包装紙さえ破きません。以前経営してた会社では葬式の香典返しは保管して年末くじ引きで社員に持たせてました。

香典返礼品数の推測は難しく、余る時は問題ありませんが足らない時は途中で追加すれど到着するまでハラハラする現実の対応策として、葬家の名前を入れず『施主』の文字に変更すれば常に在庫を持てます。

その結果『施主』表記の香典返しを一般、新生活で各々数十個づつ当方で確保しておけば、1個だけ必要な家族への対応もできます。この方法は5年以上は経ってますが家族から何か言われた事は一度もありません。

7-16 無用の会葬礼状・忌引届けは死亡診断書

他業界にいた時から無駄だなぁと思ってたのが会葬礼状と弔電、清め塩は何度も使いましたが礼状を読む事などありませんので、家族葬では会葬礼状無しで清め塩だけ用意しておきます。

会社によっては忌引きびき申請に会葬礼状添付もありますが大手では誰でも貰える礼状では、架空の叔父さん、叔母さんの葬式と有給休暇申請する社員もいる為、家族しか持ってない『死亡診断書』のコピーを提出するよう勧めています。

ついでに言うと、スマホがこれだけ普及した時代に電報は無用です。家族葬では弔電紹介などしません。

7-17 葬式の流れ変じゃねぇ

葬儀屋さんは「お別れしたい人もいるじゃないですか」と一般葬を勧めるけど、会葬者はお別れしますか? 坊さんの読経を聞いて焼香して帰る。これの何処がお別れなのか理解できません。

コロナ感染の影響で病院や施設で直接面会出来なくなったのを機に葬式、花入れ、火葬の流れを変更する良い機会と考え改革に取り組みました。

集団になるのは誰でも嫌ですから、その辺りの事も踏まえ葬儀支援の立場と家族目線から葬式の流れを考えてみるとひとつの方法に辿り着きました。

『午後3時からの葬式』

出席者は昼食をとって午後2時30分集合(他県からでも来られます)午後3時から家族葬、花入れなど済ませてからゆっくりお別れの時間です。

午後4時から午後7時までの3時間は出席者以外の焼香とお別れの時間、これなら各自の都合に合わせ易く故人とも、家族ともゆっくりできます。

午後3時の葬式は無く通夜の時間帯でも無いので、宗教者の確保が容易で食事の心配をする必要もありません。

午後7時を過ぎたら故人の家に親交の深い人達が集まり前述した通夜です。

翌朝一番の火葬は親交の深い人達だけで充分、前橋なら午前10時の炉、9時20分に斎場売店前で待ち合わせ、火葬炉前室で最後のお別れをして70分は無料待合所で待機(飲物は飲めますが食べられず食事もしません)

午前11時前後に斎場でればランチタイム時間、親しい人達だけなら充分でしょう。ただ前日の長時間式場利用は公営斎場では無理ですから民間式場限定のプランと言えるでしょう。

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